ものすごく季節無視してすいません…orz
アップ忘れしてたの見つけたので…

子花井と子田島です。パラレルだよ。

あかい夕日が沈む。
緑と青ばかりの夏の風景がこの時だけは赤く橙に染まる。

夏休みはもう数日を残すのみ。
明日、梓は遠い、住んでいる街に帰る。
それは決まっていたこと。
夏休みの間だけ、祖父母の住むこの山間の小さな村で暮らすというものだったからだ。
そして休みが終わるころに、街に戻る。

都会の喧騒とはかけ離れた、木々とせせらぎの話声がするような広くて小さな集落。
電車もバスも、一日に数本。
自家用車も農家の軽トラックばかり。
過疎化が進んだ、地区。


はじめはどんな拷問かと思った。
いくら小学校最後の夏休みを思い出深きものにしろと言われたからって、いくらなんでもこれはないだろうと思った。
毎年ではないが、父が盆休みになったら2泊3日ほど泊りに来てはいたものの、長い夏休み、まるまる一ヶ月と数日間は長すぎないだろうか。

何をして過ごすのか、遊ぶのか、わからないほどに困惑した初めての暮らし。
また散居村のため家々が離れていて、同じ年ごろの子どもがいるのかどうかもわからなかった。
日中、祖父母は畑や田圃に出掛け、梓には「気が向いたら見においで」と無理強いはしなかった。
数日、家にひきこもった。
でも、数日で飽きた。

そして外に出た。
空は高く青く、雲はまぶしいくらいに白く、草木は鮮やかに染まり、普段の生活よりも色濃く見えた。

数日ひきこもったおかげで夏の宿題はほとんど終わった。
困ったのは日記。
書くことがなかった。

とりあえず、祖父の畑に走った。
何か、しなきゃいけない気がしたから。
何か、ある気がしたから。


それから、日記には困ることがなくなった。
その出会いは、毎日が目まぐるしく変わる冒険の始まりのようだった。










「あずさと、もっといっしょにあそびたかった」

右に曲がれば、祖父母の家。
まっすぐ行けば、悠一郎の家。

一緒に過ごす、最後の夕方。

「あずさ」

抱きついてきたのは、小さな体。
それでも力はぎゅっと強い。

「悠」

「あずさと、はなれたくない。おれ、さびしい・・・」

震える肩にはっとして、悠一郎が泣いていると知った。
泣いてるとこなんか想像できないくらい、悠一郎は良く笑っていたから。


そんな姿をどこか客観的に見ていたら、自分も泣きそうになっていた。
でも、泣いたらいけない気がしてがまんして、悠一郎を抱きしめ返した。

『また会いにくるから泣かないで』

なんて言えるわけがなかった。
妙に大人びたことを考えていたと思う。
しかし気安く言ってはいけない言葉だと、子どもながらにわかっていた。
すぐ会いにこれる距離じゃないことがわかるくらい遠い。
冬は下界から隔離されてしまっているのではないかと思うくらいに雪が降ることも知っていたから。


だから強く抱きしめた。

その時はその感情が不可思議なもので、一体どんな名前なのかわからなかったけど今ならわかる。
ちいさな悠一郎が、たまらなくいとおしかった。







夏の終わりが近づくと今でも鮮明に思い出す。
燃えるようなあかい夕焼けと、真っ赤に染まったそばかすの散った泣き顔。









***


脳内妄想の抜粋と言う名の小話でした。

田島はほぼ野生児ｗｗｗ
花井も田島に出会って、夏休み後半は野生児ｗｗｗ
大自然に囲まれて、大自然と遊ぶ、みたいな！
設定が過疎村なので、田島の通う学校は分校で同級生はいなくって、全校生徒も数人で～とか。

田島は花井祖父母の畑の近く（？）に家があって、自分ちの田畑とお隣さんな花井じじばばに妙になついてて、田島ひいじい（長老）ひいばあじじばばに大切に（時にぞんざいにｗ）されて育ったので、村のじじばばとはほとんど顔見知りみたいな。
みたいなぷち設定とかいろいろ考え過ぎて頭爆発するよ私。

さてその後、この子はなたじがどうなったか。
再会したのか、離れ離れのままなのか等々そこまで妄想を詰めてないのでなんとも言えません。
変な設定はいっぱいあるのにｗｗｗ
なので、どうなったかは皆様の想像にお任せ～。
でもハピエンじゃないと嫌だから！（笑）


男の子同士なので、文通とかはしないだろうなとか。
案外田島の方が筆まめで、最初ははがきとか出し合ってたけど、そのうち花井から応答がなくなって、自然に田島も出せなくなって・・・とか切ない（泣）
中学に上がったら勉強に部活に忙しくて、お盆休みだからって田舎に帰省はしないんじゃなかろうかとかも妄想してます。
・・・あら、このまま行ったら切ない初恋のお話でおわるな・・・