これでほんとにおしまい。




くっつく前の二人を妄想するのが楽しい今日この頃。

おまけ。
はないサイド。




『……はない、おれ、ねむくなってきたぁ…』

突然の電話から20分ほど。
田島の声はどんどんまどろんで行って、ますます幼さが増した。
同じ歳の同性に対して思う感情じゃないってわかってるけど、すごく、かわいい。
妄想かもしれないけど、その田島の様子が想像できてしまうからどうしようもない。


田島からの着信、何かあったのかと思ってびっくりした。
けど、内容は他愛もないこと。
でも、俺にとってはすごく嬉しいこと。

田島は、俺がみんなに優しい、とか言ったけど。
そうか？普通だろ。
ただみんなと同じようにお前に優しくしてるかは不明だ。時々あとから思う。
意識したらなおさらだ。
今自分がしてる行動や発した言葉が適切か、わからなくなる。


でもお前にだけだよ。
好きなヤツに、こんな夜中に'声がききたくなって'とか言われて、邪険にできるはずなんてないじゃないか。
お前じゃなかったらソッコー切ってる。


この気持ちが正しいか正しくないかって言ったら、後者なんだろうけど。


「おー、んじゃ寝るか」

『…まだ寝たくない』

「は？」

『なんかさ、花井とナイショバナシしてるみたいでたのしい』

「………」

『だからさ、また、しよーな？いい？』

「うん、わかった」

やった、ウレシイ。
そう呟いた田島に、思わず赤面した。




通話を切って、フラップを閉じる前に待ち受け画面を見つめる。
田島が送ってくれた野球部全員の集合写真。
俺と田島、一番離れた場所にいる。
けど、心象風景的に今は一番近い場所にいるような感覚。

葛藤を繰り返しながら、それでも近づけるように足掻くんだ。俺は。