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これでおしまい。
















 *****

ないしょのはなし③




『もしもし?たじま?』

コール音は早くに切り替わり、すぐに望んでいた声が聞こえた。

『たじま?どうした?』

思わず息を飲んだ。
聞こえてきたのは、自分を呼ぶやさしい花井の声。

『たじまー?きこえてんのか?おい、寝ぼけてんのかー?』

ちょっと苦笑してる、花井の声。
おれが何もしゃべらないから、寝ながら間違えて発信したんだと思ってる。

「ん、はない」

『おお、起きてた。どした?なんかあった?』

この声は、こんな時間に電話をかけためーわくなおれを怒ってもなければ呆れてもない、穏やかでおれを心配してくれてる花井の声。

「…んと、特になにかあったわけじゃねぇんだけど、その…」

『ん?なに?』

口ごもったおれ、でも花井はますますやさしい。

「なんか、ちょっと目がさえて、こんな時間にめーわくだって思ったけど」

声がききたくて、ただそれだけで、なんで電話したかなんて理由、考えてなかった。
うまい言い訳なんか思い浮かばなくて。
たぶん怒られて切られるだろうと思っていたから、こんな風に問われるなんて思ってなかったのが正直なトコロ。

だから、素直に口にしてみた。
甘えてみた。

「花井の声、ききたくなったんだ」

きっと花井は受け止めてくれる、そんな気がしたから、自分の中の言葉を口にしたんだけど。

「…えと、でも、ごめん、こんな時間に」

『………』

「あ、その、…………だから、用事とか、なにもないんだ」

『………』

ああ、花井の無言がイタイ。
もう遅いケド、しまった!って強く思う。
居心地がかなり悪い。
冷や汗、でてきた。

「………」

おれ、すっげーあきれられてる。
きっと今から、アホかって怒られるんだ。

ヤベ、ちょっと泣きそう。
おれ、なんかすげー恥ずかしい。
よっきゅーに正直すぎるおれのばか!

『たじま』

「ご、ごめん。も、切る、から、怒んない、で、クダサイ…」

口調が三橋みたいになってる。
自分でもテンパってるのがすごくわかる。

どうしても聞きたかった花井の声、どんな声でも良かった。文句言われると思ってたから、怒り声でも良かったんだ。
もし怒られたら寝ぼけたフリをするはずだったし、それができなかったら、イタズラしたんだーっていひひって笑ってごまかすつもりだったんだ。

でも、やっぱり怒られるのはやだ。
どうせなら、やさしい花井の声がいいもん。

『別に怒ってなんかねーよ?』

「…え?」

『なんかあったかと思って心配した。でも、なにもなかったならそれでいい』

電気信号に変換されて自分の耳元に届く花井の声は、いつも増して穏やかにきこえる。
やさしくて、なんか甘くてとけちゃうよーな。
携帯ごしだからかな。

『…眠たくないなら眠たくなるまで付き合うぞ』

あ、でも先に寝おちすっかも。そしたら悪い。

「…さすがみんなのキャプテン、やさしい」

これが、おれだけに、だったらいーのに。
なーんて。花井はなんだかんだ言ってみんなに優しいの知ってるし。
いつも、見てるから。

『………ちげーよ』

「ちがくねーって」

なんなら今から花井の優しさについて熱弁してやる!

「はない、ありがと」

ヤバい、めっちゃすきだ。









続くようでおわりです。


あとおまけがあります。
それはまた明日。



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2011年7月に突然ハナタジに心臓を打ち抜かれた良い歳こいた隠れ腐女子(既婚やし、女子と言っていい年齢かどうかも不明だが…)です。おお振り初心者マークを貼っつけながらもまったりがんばります。
20120321HN変更。
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