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これでおしまい。
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ないしょのはなし③
『もしもし?たじま?』
コール音は早くに切り替わり、すぐに望んでいた声が聞こえた。
『たじま?どうした?』
思わず息を飲んだ。
聞こえてきたのは、自分を呼ぶやさしい花井の声。
『たじまー?きこえてんのか?おい、寝ぼけてんのかー?』
ちょっと苦笑してる、花井の声。
おれが何もしゃべらないから、寝ながら間違えて発信したんだと思ってる。
「ん、はない」
『おお、起きてた。どした?なんかあった?』
この声は、こんな時間に電話をかけためーわくなおれを怒ってもなければ呆れてもない、穏やかでおれを心配してくれてる花井の声。
「…んと、特になにかあったわけじゃねぇんだけど、その…」
『ん?なに?』
口ごもったおれ、でも花井はますますやさしい。
「なんか、ちょっと目がさえて、こんな時間にめーわくだって思ったけど」
声がききたくて、ただそれだけで、なんで電話したかなんて理由、考えてなかった。
うまい言い訳なんか思い浮かばなくて。
たぶん怒られて切られるだろうと思っていたから、こんな風に問われるなんて思ってなかったのが正直なトコロ。
だから、素直に口にしてみた。
甘えてみた。
「花井の声、ききたくなったんだ」
きっと花井は受け止めてくれる、そんな気がしたから、自分の中の言葉を口にしたんだけど。
「…えと、でも、ごめん、こんな時間に」
『………』
「あ、その、…………だから、用事とか、なにもないんだ」
『………』
ああ、花井の無言がイタイ。
もう遅いケド、しまった!って強く思う。
居心地がかなり悪い。
冷や汗、でてきた。
「………」
おれ、すっげーあきれられてる。
きっと今から、アホかって怒られるんだ。
ヤベ、ちょっと泣きそう。
おれ、なんかすげー恥ずかしい。
よっきゅーに正直すぎるおれのばか!
『たじま』
「ご、ごめん。も、切る、から、怒んない、で、クダサイ…」
口調が三橋みたいになってる。
自分でもテンパってるのがすごくわかる。
どうしても聞きたかった花井の声、どんな声でも良かった。文句言われると思ってたから、怒り声でも良かったんだ。
もし怒られたら寝ぼけたフリをするはずだったし、それができなかったら、イタズラしたんだーっていひひって笑ってごまかすつもりだったんだ。
でも、やっぱり怒られるのはやだ。
どうせなら、やさしい花井の声がいいもん。
『別に怒ってなんかねーよ?』
「…え?」
『なんかあったかと思って心配した。でも、なにもなかったならそれでいい』
電気信号に変換されて自分の耳元に届く花井の声は、いつも増して穏やかにきこえる。
やさしくて、なんか甘くてとけちゃうよーな。
携帯ごしだからかな。
『…眠たくないなら眠たくなるまで付き合うぞ』
あ、でも先に寝おちすっかも。そしたら悪い。
「…さすがみんなのキャプテン、やさしい」
これが、おれだけに、だったらいーのに。
なーんて。花井はなんだかんだ言ってみんなに優しいの知ってるし。
いつも、見てるから。
『………ちげーよ』
「ちがくねーって」
なんなら今から花井の優しさについて熱弁してやる!
「はない、ありがと」
ヤバい、めっちゃすきだ。
続くようでおわりです。
あとおまけがあります。
それはまた明日。
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プロフィール
HN:
aya
性別:
女性
職業:
ほのつく職業。
自己紹介:
2011年7月に突然ハナタジに心臓を打ち抜かれた良い歳こいた隠れ腐女子(既婚やし、女子と言っていい年齢かどうかも不明だが…)です。おお振り初心者マークを貼っつけながらもまったりがんばります。
20120321HN変更。
20120321HN変更。
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