①の続き。
めちゃ短いです。

ないしょのはなし②


ふと目が覚めて、時間の確認をするために携帯を開いて、そしたらまたすぐ眠りに就くはずだったのに、気付けば待ち受けの小さな花井を見つめながら目が冴えてしまっていた。

時刻は日付がかわったところ。
練習が終わって、ちょっと雑談して、10時前に帰ってきて、ご飯食べて、風呂入って、一人でシようかちっとだけ悩んで結局今日はシないで布団に潜り込んだらすぐに夢の中。
だったのに、ふっと意識が浮上して。


はないの声、ききたいなぁ。


たぶん花井はまだ起きてる。
家まで遠いし、長風呂だって言うし、きっと宿題なんかもちゃんとやってる。くそまじめだ。

だから、たぶんきっと今から寝る、みたいなトコロだとおれは思う。
もう布団に入ったかな？

………どうしよ、すごく花井の声がききたい。

朝練まで我慢しろよ、できるだろ？目を閉じれば朝なんてすぐだ。

頭の中の自分がそう呆れたように呟く。
でも、なんだか今日はそれに従えない。
でも、確かにもう遅い時間で、花井は寝てしまったかもしれない。
でも、声がききたい。
でも、フキンシンだ。めいわくだ。


でも。

葛藤しつつも指は勝手に動いてアドレスを開く。
あとは通話ボタンを押せば、電波が花井に届く。

はない。

かち。

しかくいボタンが控えめに音を立てた。
コール音がいつもより大きく感じた。

もし文句を言われたら、寝ぼけて間違えてかけちゃったフリをしよう。
そんで、明日、あんまり覚えてないフリをして謝ろう。